こだわりのファミリー 引越
2005年には「Euro規制」が導入されましたが、2008年にはさらに厳しい「Euro- 5 規制」の導入が控えています。
2012年には、自動車メーカーにとっては壮絶な規制値となる「Euro- 6 規制」も控えていると言われます。
Euro- 5 規制では、PM(粒子状物質)を除去するDPF(ディーゼル微粒子除去フィルター)、Euro- 6 規制では、多大なインフラ整備も必要となるSCR(尿素フィルター)の導入が必要となる可能性が高いと言われています。
各社は、技術的なブレークスルーのみならず、多大なコストアップをこなす必要に迫られるのです。
詳細な説明は第5章に譲りますが、今後10年間で世界の自動車保有台数は飛躍的な成長が望めます。
この実現には、車を動かすエネルギーをいかに確保するかが非常に重要な課題となります。
このため、燃費既能に優れるディーゼルエンジンは世界的な成長が期待できる有望技術であると考えられます。
欧州のディーゼル開発で優位に立つことは、世界の技術デファクトで優位に立つことにもなるでしょう。
極めて過酷な市場でありながら、欧州市場で戦略的な競争力を確立するということは、自動車メーカーにとって非常に重要なことだと言えます。
2005年での欧・米・日市場は世界需要の65%を占め、自動車の持つ利便性や快適性は先進国の一部の人にしか享受されていませんでした。
2012年には世界需要は8,000万台に達し、約L200万台の年間需要の増大が期待されています。
その成長のおよそ70%がアジア、ロシア、南米などの新興国から生まれると考えられています。
過去のモータリゼーションは欧米先進国で進んだわけですが、自動車は新興国を中心とするモータリゼーションの第2ステージに差しかかっています。
この第2のモータリゼーションを制する者が、言うまでもなく自動車業界の新たな覇者であり、なかでも中国市場での勝ち残りは必要条件に近いと考えられます。
中国乗用車市場は近年劇的な変化を遂げつつあります。
5年前の2000年頃には自動車販売台数がわずか100万台にすぎない黎明期の市場でしたが、06年には683万台、2010年には日本を追い抜き、世界第3位の自動車消費大国として君臨する時代が近いと見られています。
この中国自動車市場は、かつて「チャイナ・プレミアム」と呼ばれた、国際比較で非常に高い自動車価格に支えられた、高成長かつ高収益市場でした。
しかし、このようなバラ色の市場であったのは2003年までであり、WTO(世界貿易機関)参加に伴う自由化路線以降、自動車価格は急落を続け、世界で最も過酷な競争環境の市場に劇的な変化を遂げました。
近年の中国市場の競争の厳しさは市場自動車価格の下落に顕著に表れています。
主力セグメントの平均価格を算出し、2002年の市場平均価格を100に指数化した価格下落率の推移を、図表3 -16に示しました。
02年当時、中国乗用車価格は、先進国価格を15~20%も大幅に上回る、「チャイナ・プレミアム」を享受していました。
JPモルガンの試算では、Bセグメント(小型乗用車)で15%、Cセグメント(中型乗用車)で20%強、Dセグメント(大型乗用車)では20%弱、先進国価格を上回るプレミアムがありました。
02年のWTO加盟が転換点となり、中国自動車市場は世界に類を見ない大激戦市場に変貌しました。
価格デフレスパイラルは、02年からわずか3年間で、小型乗用車(Bセグメント)が22%、中型乗用車(Cセグメント)が21%、大型乗用車(Dセグメント)が24%と、それぞれ大幅に価格が下落しました。
現在では、先進国の平均価格を下回る「チャイナ・ディスカウント」の世界へ落ち込んだのです。
「チャイナ・プレミアム」という価格効果で皆が一定の収益力を確保できるような姿は完全に消滅し、「商品力」と「コスト競争力」が事業収益性を決定するという、先進国型のビジネスモデルに変貌を遂げているのです。
現在、中国自動車市場は約150社の自動車メーカーが乱立し、日・米・欧・韓のグローバルブランドと中国地場ブランドが混在する、世界中で最も過酷な大競争市場となっています。
数社が市場をほぼ独占する黎明期を経て、現在では市場シェアの断片化が著しく進んでいます。
これは、誰も予想しえなかったスピードと規模で進んでいます。
中国と言えば、誰しもがフォルクスワーゲンの独占的な地位を思い浮かべると思われますが、およそ半分の市場を握っていた同社は、今やトップシェアの座を脅かされている存在です。
数年前は限定的なプレゼンスであった、現代自動車、日産自動車、トヨタ自動車などが、短期間で中核ブランドに成長してきました。
生産能力の増強、競争力のある新型車投入、販売網の拡張など、絶え間なく事業基盤の強化を実施できなければ、退場を迫られる過酷な市場が現在の中国自動車マーケットです。
コスト競争力と商品競争力に乏しいメーカーには閉塞感が漂います。
一方、魅力的な新商品を投下し、徹底したコスト削減を実現できるメーカーは、同様な競争環境下でも魅力的な収益性を維持するような、業績の二極化か起きています。
2004年からの調整局面は収斂し、中国の消費者は再び自動車消費へ回帰し始めました。
個人所得の増加と自動車価格低下の相乗効果で、短期的な自動車市場回復への見通しは明るさを増してきました。
JPモルガンでは、中国乗用車需要(新定義ベース)は、今後数年間にわたり20%を超える高成長が持続できると予想しています。
09年ごろには、乗用車744万台、商用車221万台、合計965万台の大自動車消費大国に成長すると考えています。
中国自動車市場が、販売台数・生産台数のいずれも日本を追い抜き、規模で世界第2位の自動車大国に成長するシナリオは非常に濃厚です。
人口動態と普及率の関係というマクロバランスのアプローチに基づき、現在の主要都市保有形態を将来の中国自動車普及モデルに当てはめれば、長期的な中国自動車需要は2010年で1,000万台±50万台のレベルに到達する可能性が高いでしょう。
規模を持った市場が持続的に2桁成長するようなダイナミックな市場は中国以外にはなく、「中国市場を制するブランドが次世代の覇者」という市場認識は間違いではないと言えます。
ただし、中国市場は、規制、政治、社会、文化、競争、環境など、いずれの因子も不確実性が高く、長期的展望と戦略構築が困難な市場でもあります。
世界の自動車メーカーが翻弄されるさまざまな変動を覚悟しなければならないでしょう。
国産ブランド育成に対する中国政府の並々ならぬ意気込みも、規制緩和・規制強化の両面で政策の不透明感を払拭できないものとしています。
このような国産ブランド育成政策が成功すれば、第3極としての新たな競争メーカーが誕生する可能性もあるのです。
中国自動車産業は、政府の産業政策規制に守られた認可事業です。
外資出資規制も根強く残り、外国資本の持ち分は50%までしか認められず、海外ブランドの製造工場は、中国資本との合弁会社に制限されます。
市場開放政策を慌ただしく求める海外ブランドと、その実現を遅らせようとする国産ブランドとの利害対立の構図は明白です。
自社ブランドの増殖を続け、最終的に事業支配権を狙うことが日・米・欧・韓の自動車メーカーのミッションでしょう。
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